那覇空港から車で約25分、首里城、守礼の門のすぐ近くにある、1519年に作られた石門です。華やかな守礼の門や首里城の一角にひっそりと佇む姿は、琉球王朝を見守ってきた歴史を垣間見ることができます。
ポイント1:実は世界遺産「園比屋武御嶽石門」は重要な場所だった!
首里城や守礼の門は知っていても、「園比屋武御嶽石門」と言われると、どう読んでいいのかさえもわからない人もいるでしょう。
この門は「そのひょんうたきいしもん」といい、首里城の公園内に建っています。門とは言えど、人が通るための門ではありません。
石門は神社でいうと「拝殿」にあたり、この石門は琉球王朝の主要人物が外出をする際の無事を祈る、重要な場所だったのです。
この門は16世紀の琉球王国・尚真王時代の御嶽で、平成12年2月、首里城とともに世界遺産に指定されており、国王が城外に出る時、国王が城外に出る時に道中の安全を祈願したり、聖地を巡礼する行事や最高神女(のろ)・聞得大君(きこえおおきみ)の即位式も最初にここを参拝した場所と言われています。
ポイント2:『園比屋武御嶽石門』実は石門の背後の森が御嶽
「御嶽」とは、琉球では、祭祀などを行う施設のことを言います。実は石門の背後にこんもりした森がありますが、これが御嶽となっていて、神社でいうところの「神殿」にあたります。
御嶽とは斎場御嶽などに見られるように、祖先神をまつる聖地で、社殿は特になく、自然の中の小高い森にあるものが多いですが、この園比屋武御嶽は高貴な人が拝む場所なので、石門が設置されたと思われます。
ポイント3:実は学術的にも貴重な『園比屋武御嶽石門』
![](https://tabi.media/wp-content/uploads/2022/11/園比屋武御嶽石門3-1024x576.jpg)
園比屋武御嶽石門は学術的にも非常に価値のある門だといわれています。
この石門は、1519年、尚真(しょうしん)という王が八重山竹富島の西塘(にしとう)に命じて作らせたものですが、木製の扉を除くと琉球石灰石と細粒砂岩で作られています。
デザインは屋根の両妻(りょうずま)から軒先までは和風ですが、棟飾りには両側に鴟尾(しび)が配されるなど、中国的な要素が入っています。
また上から見ると、両側の石牆(せきしょう)が中央に向かってすぼまり、床は中央で盛り上がるなど、遠目で見たときの目の錯覚を補う工夫がされているのです。
こうした技術は、日本がまだ鎖国時代にも中国や東南アジアと貿易をさかんに行っていた琉球王朝の反映の一端を見る思いで、大変文化的、学術的にも価値があるものだと言われています。