え?バナナで出来てるの?芭蕉布は夏でも涼しい魔法の布
かつて沖縄では、各家庭で栽培された「糸芭蕉」という植物から女性たちが手作業で布を織り、着物に仕立てていたそうです。
しかし戦後、近代化と共にその伝統技術も失われてしまいました。
その時立ち上がったのが、後に人間国宝にもなる平良敏子さん。
紡績で有名な岡山県の倉敷で織物について学んだ敏子さんは、故郷の大宜味村喜如嘉で地域の方々と共に復興に取り組み、ついに芭蕉布を復活させました。
現在も喜如嘉では、大宜味村率芭蕉布会館を舞台に地域ぐるみで芭蕉布づくりが行われています。
バナナから布を作る
芭蕉布は糸芭蕉という植物から作った布。実はこの「芭蕉」というのはバナナのことで、英語では芭蕉布をバナナ・ファブリックと言うのだそう。
と言っても食べられる実が成るのでは無く、使われるのは繊維質の茎。
よくほぐした繊維をなんと手作業で一本一本結んでいき、長い糸にします。
その糸が琉球藍や福木といった天然染料で染められた後、絣の技術を使って織られ布になるのです。
沖縄の気候にぴったり!?
芭蕉布の特徴は薄くて軽く、汗を吸い風をよく通すこと。
そのため、いつもサラサラしていて肌にくっつかず、高温多湿な沖縄の気候によく合うのだとか。
ジメジメと暑い日本の夏にもぴったりですね。
琉球王朝時代には徳川家康にも献上したのだとか。
クーラーのない江戸時代、暑い夏を快適に過ごせる芭蕉布を貰った家康はさぞ喜んだことでしょう。
芭蕉布は、沖縄の自然とそこに暮らす人々が生み出した奇跡の布なのです。
喜如嘉芭蕉布会館へ行ってみよう!
喜如嘉芭蕉布会館の一階は博物館になっており、展示や映像資料などで芭蕉布の歴史や特徴を学ぶことができます。
芭蕉布を用いた様々なグッズも販売しているので、お土産にぴったりですね。
2階では芭蕉布の製作風景を見学できるのですが、なんと御年100歳になる平良敏子さんも現役で作業しています。
神経を使う繊細な作業をされているので、邪魔にならないよう気をつけながら見学しましょう。